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アーカイブ サンデー毎日 倉重篤郎のニュース最前線 2025/01/11 倉重 篤郎
日本は対米自立し、アジアに足場を築け 「全体知」の思索者・寺島実郎の動乱2025予測
新年をことほぐ余裕もないほどの内憂外患を「全体知の巨人」が解く。激動に見舞われ続ける内政は言わずもがなだが、私たちはトランプのアメリカとどう向き合うべきなのか? 寺島氏が言う「デジタル・金融複合体」とは何か? 必読の、動乱2025予測。
石破首相は古い自民党を脱し、10年先への重い発言を
産業基盤を再生せよ 「医療・防災」「食と農」「教育」が三本柱
トランプ米国はデジタル・金融複合体に/象徴イーロン・マスク
2025年はどんな年になるのか。寺島実郎氏(日本総合研究所会長、多摩大学長)による弊誌恒例の新年大予測をお届けしたい。
今年もロンドン・エコノミスト誌が年末に発表するキーワードから始めたい。ちなみに24年は、「Vote-a-rama(選挙だらけの年)」「Multipolar disorder(複合的無秩序)」であった。「危機のデモクラシー(民主主義)」という時代の変転を匂(にお)わせる添え書きがついていたが、まさにその通りの展開となった。世界70カ国以上で国政選挙があり、42億人が投票に参加、英国では14年ぶりに保守党から労働党政権に交代、フランスでは与党が大敗、右派政党が躍進し、米国では、議会襲撃事件で黒幕視され四つの刑事裁判を抱えるトランプが大統領に再選された。
政変の波動は北東アジアにも及んだ。台湾で1月、韓国で4月、日本で10月に総選挙が行われ、3カ国ともに軌を一にして少数与党政権に転落した。尹錫悦(ユン・ソンニョル)韓国大統領の突然の「非常戒厳」宣布に始まる韓国政界の一連の混乱も、背景にそれがある。
日本もまた自公が大きく過半数割れ、石破茂・少数与党政権が綱渡りのような政権運営を行っているのは見てきた通りである。まさに選挙だらけの年が複合的無秩序をもたらし、次はどうなるか、という不透明感のまま、年越しとなってしまった。そして、ロンドン・エコノミスト誌による25年のキーワードは、「Trump, technology, and uncertainty(トランプ、技術、そして不確実性)」「Broader disorder(広がる無秩序)」となった。トランプの再来とAIを軸とした最先端技術の発展が社会の不確実性を高めており、世界はより無秩序に向けて動くのではないかと展望している。
この不透明な時代をどう切り取り、どう向き合うべきか。寺島氏に聞いた。
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