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    アーカイブ サンデー毎日 倉重篤郎のニュース最前線 2025/10/11 重 篤郎
    倉重篤郎のニュース最前線 高市早苗新総裁に3つの壁 山崎拓、田中均、金子勝、久米晃が直言
    初の女性首相か。安倍路線の継承者
    連立拡大、維新本気か/トランプの無茶な要求/アベノミクスの後始末
     高市早苗氏が自民党総裁に選出された。初の女性首相誕生となる可能性が高いが、その右派的・統制的志向、また安倍晋三政権継承という構えには、内政、外交ともに懸念もある。高市新総裁が直面するであろう「三つの壁」を、4人の論者が徹底論議する――。
     自民党に高市早苗新総裁が誕生した。衆院で首班指名され、第104代首相に就任する公算が大である。
     初の女性首相である。世界経済フォーラム(WEF)発表の25年度ジェンダーギャップ指数で、日本は148カ国中118位、特に政治分野は125位で前年からさらに後退した。衆院の女性議員比率は、24年10月の衆院選で15・7%まで上昇したが、下位グループを抜け出せていない。女性首相が過去ひとりも出ていないことも、スコアに響いている。その中での高市氏の勝利である。ジェンダー平等を後押しする契機になることを望む者である。
     ただ、その高市氏は選択的夫婦別姓法案には反対である。日本の伝統的家族制度を守りたいと言う。それ以外でも保守的、伝統右翼的主張が目立つ。懸念されるのは、靖国参拝である。昨年の総裁選では参拝を明言したが、今回は「(戦犯は)刑を執行された段階でもう罪人ではない。私はやはり手は合わせたい。どこからでも手を合わせたい」(日フジテレビ)と述べるだけで、参拝するかどうかの明言は避けた。
     高市氏が靖国参拝すれば中韓からの批判は必至である。韓国とは連携すべき同志国からの信を失い、中国とは仮想敵国側の敵対意識をさらに高める。外交安保上最悪の展開になろう。では、参拝せず棚上げできるかと言えばこれも「ノー」だ。足元の支持団体に公言し集票してきた手前、どこかで手形を落とさざるを得ない。そこに危うさがある。
     かつての「停波発言」も気になる。高市氏は安倍晋三政権の総務相時代、「放送局が政治的な公平性を欠く放送を繰り返し、行政指導しても全く改善されない場合、それに対して何の対応もしないと約束するわけにいかない」と述べ、政府が放送局に対し放送法4条違反を理由に電波法76条に基づいて電波停止を命じる可能性に言及した(2016年2月8日の衆院予算委)。民主主義国ではメディア弾圧はありえないとの空気もあるが、トランプ米国を見ると、権力者が誰になるかによることは明らかだ。
     高市氏が「安倍政治の継承」を前面に押し立てるのも疑問だ。その基幹政策であった異次元金融緩和と日米同盟一体化は、「金利を上げられない資本主義経済」「米国の駒として中国との望まぬ対立」という二つの袋小路に日本を追い込み、裏金疑惑に日本政治を汚染させた。安倍政治の反省から始め、修正すべきは直していただきたい。
     総裁選は、本命の小泉進次郎氏が先行し、対抗の高市氏が猛追、最後の局面で追い抜いた。第1回投票での党員・党友票での圧勝が、決選投票で議員票を引き寄せる形になった。論戦ではタカ派的側面を封じ穏健保守ぶりを強調、政策を日本経済の強化に絞り込んだ戦術も支持拡大につながった。小泉氏の失速は、「やらせコメント」「自民神奈川県連での党員削除」という二つの文春砲と、その若さ、経験不足が響いた。
     高市氏は1961年3月7日生まれの64歳。神戸大経営学部卒業後、松下政経塾を経て米民主党下院議員の下で議員立法のための調査や分析を行った。衆院議員10期、総務相、経済安保担当相を歴任、自民党では政調会長も務めた。
     高市氏は昨年の総裁選決選投票で石破茂氏に逆転負けした後、1年間雌伏の期間を経て3度目の挑戦で自民党トップの座を射止めることに成功した。ただ、連立相手の公明党からは、その保守的言動になお警戒感が持たれるなど、今後の政局運営は簡単ではない。
    維新の副首都構想に自民は乗るのか
     何よりも三つの高い壁が前面に聳(そび)え立つ。
     第一に、衆参両院での少数与党という壁である。予算も法案も通らない。これをどう解消するか。連立拡大問題である。
     第二に、トランプ米国の壁である。距離感をどう取るか。同盟国としてどこまでついていくのか。対日要求をどう値切るのか。
     第三に、安倍(晋三元首相)政治がもたらした政治・経済の歪(ゆが)みという壁だ。10年続いた異次元金融緩和の咎(とが)がいまだに日本経済を縛っている。
     三つの壁について以下3氏に解説いただく。
       ◇   ◇
     第一の壁は久米晃氏(元自民党事務局長)だ。
     「かつては総裁になるべき人たちがキャリア、識見を戦わせ、支持する人たちも懸命に押したが、今は衆目の一致する候補が不在、人材払底を如実に物語った。5候補を見ても、国民が全幅の信頼を寄せる候補はいない。有権者にもそれが伝わるから関心は低い。秋葉原で5候補揃(そろ)い踏みの大演説会をやったが集まりが悪く、皆通り過ぎていった、という報道があった」
     「政策論戦も物足りない。景気対策や減税など、馬の鼻先にニンジンをぶら下げるような話ばかり。少子化対策、防災対策、税・社会保障改革など中長期課題も生煮えだ。いずれも自民党がずっと主張してきたことだが、一つも結果を出せず、実現に移されていない。それに対する国民の不満が溜(た)まりに溜まっていたところに、政治とカネが引き金になり、この間の選挙結果になったのにそれに気付いていない。ニンジンみたいなことしか言わない。しかも、この数年間繰り返し言ってきたことばかりだ。国民からすれば面白みも新鮮味もないという話になっている」
     連立の壁どう見る?
     「中曽根康弘政権の新自由クラブとの連立(1983年)、村山富市政権下での自民・社会・さきがけ3党連立(1994年)、小渕恵三政権の自民・自由連立(1999年)といった過去事例を見ると…



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