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アーカイブ 国際観光施設協会 コラム 2024/01/10 佐野 桃子
佐野桃子の観光インタビュー 日の丸自動車興業株式会社 代表取締役会長 富田 浩安 氏
富田 浩安 氏 略歴 東京都文京区生まれ 昭和33年 栄光学園高等部卒業 昭和37年 慶応義塾大学法学部卒業 昭和 37 年 日の丸自動車株式会社入社 昭和41年 米国コロンビア大学院経営学部卒業 平成 5年 株式会社日の丸リムジン代表取締役社長就任 平成 5年 日の丸自動車興業株式会社代表取締役社長就任 令和 5年 日の丸自動車興業株式会社代表取締役会長就任現在に至る 令和元年 我孫子ゴルフ倶楽部株式会社代表取締役社長現在に至る
佐野: 富田様、本日は大変お忙しい中、ご無理言い、お時間を頂戴して、ありがとうございました。
富田氏: とんでもないです。日程変更などあって、申し訳ありませんでした。
佐野: 早速ですが、観光に関して、忌憚のないご意見を頂戴したいと思っています。 4月にテレビ東京のカンブリア宮殿にご子息様とご出演されましたね。日の丸自動車興業の、新しい事業展開、屋根が開く観光バスの導入、そのバスの地方観光地への貸し出し、水陸両用バスの導入、丸の内や日本橋の無料巡回バス事業展開などを拝見して、すっかり感動しました。大きな評判になったことでしょう。
富田氏: 富田氏:ありがとうございます。カンブリア宮殿で、私共の番組を観ていただいたそうですね。私共のバス事業の新しい事業展開が話題になりましたが、友人・知人からも数多く連絡を貰い反響がこれほど大きいとは思いませんでした。 ところで佐野さんからのお便りに「スイスは国の隅々まで、公共交通手段で移動可能であることが国の政策で、またこのことを誇りにしている」とありましたが、どのような意味ですか。
佐野: スイスは観光立国であることもあって、鉄道網がとても良 く整備されています。また、その鉄道駅から、何本もの公共バス網が整備されていて、駅からバスへの移動がとてもスムーズに出来ます。鉄道と公共バスを使って、辺鄙な場所へも移動可能なように、国土が整備されています。ですから、観光客もあらかじめ時刻表を見て、移動をうまく計画することができます。日本では公共バスは、採算に合わないとすぐに、便数を極端に減らされたり、バス網が閉鎖されることもしばしばあるのを見ています。また、鉄道も採算に合わないとすぐに運行廃止になってしまいます。地方の鉄道はどれだけ廃止されたか。自家用車を持っていて、自分で運転できる人は良いでしょうが、高齢化、少子化の時代に、「自家用車あり」という前提で生活できない人も増えてきているし、観光客も到達できない場所が拡大していると考えています。
富田氏: 良いポイントを掴んでいらっしゃいますね。スイスの場合は隅々まで行き届いている交通網の整備・運営に国のお金を使っていると思います。日本は国鉄の民営化が実行された歴史がありますが、今もう一度それを見直して国が補助金を出してでもスイスのように隅々まで公共機関で移動できるスイスのような国になれたらと思います。
佐野: 夏の一番のリゾートの軽井沢でさえ、公共バスの本数がどんどん減って、とてもバスを頼りに出来ない不安な状況です。軽井沢町長さんに、今のお話しをお聞かせしたいです。
富田氏: 茨城県の神栖市でタクシー事業をしているのですが、この地域には大規模な工場団地があり税収入がとても潤沢で、地方自治体がバスが運行されていないエリアに、タクシーの利用の半額補助をしていると聞いています。おかげで住民の方は気楽にタクシーを利用してくださっています。 これなど、交通整備に対する税利用の支援策の良い例だと思います。 「カンブリア宮殿」でご覧になったと思いますが、丸の内では三菱グループが中心となり、日本橋では三井グループが中心となって経済的な問題を解決してくださって、無料巡回バスのサービス開始が出来ました。人形町にも実現しています。
佐野: 私も丸の内でさっそく利用させていただきました。便利ですね。 また、南箱根のダイヤランドに別荘を持っている友人がいるのですが、新幹線の三島駅からシャトルバスが出ていて、一人でも、東京駅から新幹線に飛び乗れば、簡単に別荘に到着すると、別荘生活を謳歌しています。アメリカのフロリダ州などでは、ゴルフ用のカートで、町中をどんどん移動できると聞いていますが、日本ではどうでしょうか。
富田氏: 日本では、公道と私道の区別がとてもはっきりしていて、警察も監視していますから、それは簡単には実現しないと思いますが。
佐野: ゴルフカート利用での移動をはじめから計画に入れた街ができると面白いですね。 ところで、富田様はアメリカ、ニューヨークにある有名なビジネススクールであるコロンビア大学院へ留学されていますが、そこでの経営やビジネスの勉強を基礎にして経営をされてきたのでしょうか。
富田氏: コロンビア大ビジネススクールでは、marketing、 decision making といったクラスでの勉強や、ケーススタディでの英語での討論など、初めての経験ばかりで大変でしたが、卒業後の私の経営の基礎となり活かされていることが多々あります。また世界中からの留学生と交流し切磋琢磨できたことも私の素晴らしい財産になりました。私の留学中の思い出として、アイゼンハワー元大統領がニューヨークを訪れ、各国の留学生と話される機会に、日本からの留学生の私を招待してくださったことです。私にはアイゼンハワー元大統領に拝謁する名誉に恵まれたこと、そして声をかけていただきお話出来ました事は忘れられない思い出として残っています。
佐野: 素晴らしい留学でしたね。そして、世界中ご旅行もなさっていると思いますが、お気に入りのリゾートまたはホテルはありますか。
富田氏: アメリカカリフォルニア州のナパバレーのカリストガインは娘が結婚式をしたところで印象に残っていますし、ニースの街も大好きですが、ホテルで印象深いいのは何といってもNYのプラザホテルでしょうか。残念ながら、今はコンドミニアム主体の建物となってしまい、ホテル業はごく一部で継続されているのみですが。
佐野: 実は私も 40 年位前に宿泊して、素晴らしい経験をしました。レストランもおいしくて、クラムチャウダーは最高でした。
富田氏: 実はプラザホテルの玄関に下がっていたシャンデリアを所有しております。シャンデリアが処分されることになりオークションで廉価にて買うことが出来ました。色々なビジネスを手掛けておりますので、いつか事業に使えるところがあればと思っております。
佐野: エー!すごいですね。是非、我孫子ゴルフ倶楽部に吊るしてはいかがでしょうか。(笑)ところで、最後にお聞きしたいのは、超ご多忙の中で、どのようにリラックスなさっているかということですが。
富田氏: ビジネスは元来好きな方で、時間をかけても苦になりません。ただしストレスを溜めないためにリラックスする努力はしております。ゴルフは私の生涯をかけた楽しいスポーツです。精神的にも豊かな明るい気持ちにさせてくれて、明日へのエネルギーを蓄えさせてくれます。又、読書することも私の人生の大切な時間の一つです。いつも何冊もの本を持ち歩いています。最近読んでおります地球の歴史や未来・宇宙などの本は私に大きな夢や刺激を与えてリラックスさせてくれます。スポーツや読書は、私にとって若さを保ちリラックスさせてくれると思っています。
佐野: それでいつも若々しくいらっしゃるのですね。私も見習います。本日は本当にありがとうございました。いろいろ教えていただきました。
富田氏: こちらこそ。また、気軽にお会いしましょう。
インタビュー後記 「コロナの観光業への打撃はあまりに大きかった。富田さんが社長を務めていた、日の丸自動車興業も一時は売上 80% マイナスだったのにも関わらず、まさにその観光業だけで持ち直した。」とテレビ東京の人気番組「カンブリア宮殿」で紹介され、大評判でした。 このインタビューでは富田さんが、いったいどのように事業展開を考え、実行に移す力を蓄えていたか、その秘訣を覗いてみたかったのです。好きなスポーツと読書で精神のバランスを健全なものにし、明るい気持ちになるという、きわめて真面目なお答えが得られました。 体を鍛えることと読書、私も頑張ってみたいと思います!! 佐野桃子
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