|
アーカイブ サンデー毎日 倉重篤郎のニュース最前線 2025/02/01 倉重 篤郎
石破茂首相「少数与党として国民の声に耳を澄ます」 田原総一朗が訊く
独自な保守政治家として本誌で長らく政治状況を語ってきた石破茂氏が、首相となって初登場。少数与党としての立ち位置は?裏金問題は?フジテレビ問題は?地位協定改定は?経済立て直しは? 最高権力者のヴィジョンを、田原総一朗が容赦なく問い詰める。
◇トランプのアメリカとは主権国家同士で双方の国益増進の道を探る/「地位協定改定」 捨てていない
◇フジテレビ問題、旧態依然たるガバナンス欠如の病は深い/防災庁、地方創生、自衛官の処遇改善…一歩一歩積み上げる/「コストカット」型経済から「付加価値創出」型へ
2025年の日本政治は二つの大きなチャレンジに直面していると言える。
一つは、石破茂少数与党政権の政局との綱引きだ。野党優勢の国会で、いかなる説得と譲歩の術を駆使して、民主主義の鉄則である過半数を確保、予算と関連法案を成立させるのか。
1月24日に開会した会期150日の通常国会、いくつもの関門が待ち受ける。まずは、施政方針演説、各党代表質問後の衆院予算委の入りである。2月1日が有力だが、野党側は裏金問題解明のため旧安倍派元事務局長の国会招致を求めている。この問題では、2022年段階でいったんやめることになった裏金還付がなぜ復活したかを巡り関係者の話が食い違っており、最もよく知る立場であり、法廷でも証言している同氏に真相を質(ただ)そうというもの。最低でも招致の議決が予算案審議入りの条件と野党8会派で足並みを揃(そろ)えているが、これにどう応えるか。
次に、予算案年度内成立には、衆院側で公聴会が行われる2月中旬頃までに野党側との折衝で予算案修正協議の目途(めど)をつける必要があるが、それをどうするか。参院選を控えるだけに、どの党とも本格的な連立を組むのは困難であろう。ただ、予算を成立させるためだけの多数派工作は可能である。ここは昨年暮れの臨時国会で補正予算を成立させた経験から取るべき3ルートが見えている。
第1ルートは、国民民主党と「課税最低限103万円の壁」引き上げ問題でどう妥協するか。年末の自民税調がこれを123万円までは引き上げたが、国民民主はなお不満だ。同党の言い値通り178万円まで上げると、7兆?8兆円の財源が必要なため、費用対効果が合わないとの慎重論も政権内には強い。150万円で折り合うなどと、足して2で割るような妥協案もあり夏の参院選まで睨(にら)んだ駆け引きが活発化している。
第2ルートは、維新の主張する「高校教育の無償化」をどこまで受け入れるかだ。1月10日に、維新側から必要な予算として6000億円、財源は行革や外為特会活用で捻出する、との提案があり、22日には自公維3党で協議、議論を深めることで一致した。
第3ルートは、野党第1党の立憲民主党の要求に沿った予算案修正を実現させる道だ。昨年暮れの補正予算では、当初予算の予備費から1000億円を能登半島の支援に充てるとの修正で、衆院予算委レベルでは、賛成を得た(衆院本会議では、なお全体として無駄が多過ぎる、という理由で立憲は反対に回った)。立憲は歳出項目として学校給食費の無償化と介護職の給与面での待遇改善、歳入項目としては予備費、基金などの減額修正を挙げている。
どこと、どう組むか。石破氏からすれば、選択肢が三つ…
| |
|