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わが国のニュースメディアの生態系は、この20年ほどで大きく様変わりした。20世紀末に部数と広告収入がピークを迎えたマスメディアの雄、新聞は、21世紀に入ってから部数減に歯止めがかからず、全体として低落傾向が続いている。
新聞の凋落を横目に健在ぶりを誇ってきたテレビも、ここ数年、広告収入の低下と若年層の視聴率急落に悩んでいる。
他方、インターネットメディアが勃興し、ヤフーニュースなどのプラットフォーム的なメディアは旧来のマスメディアから読者と広告収入を奪うことに成功したものの、肝心のコンテンツ、特にニュースコンテンツについては、基本的にマスメディアが制作したものを転載するにとどまっている。
マスメディアとプラットフォーム的なメディアの間では、中小のネットメディアや寄付金型のネットメディアが誕生し、ネットを舞台とするフリーランスの活躍も徐々に見られるようになってきた。
しかし、マスメディアの衰退が止まらない中で、ネットメディア全体の取材力、ニュースコンテンツ制作能力が向上しているかといえば、誠に心もとない状況と言えよう。このままでは日本社会全体のニュースの質がさらに低下していく可能性が高いのではないか。
当研究所は、このような状況を踏まえ、世界のメディアの動向や歴史的な経緯なども視野に入れつつ、わが国のニュースメディアの生態系の変化に目を凝らし、そのあるべき将来像を探っていくことを目的として設立された。私たちの研究の成果が少しでも皆様のご参考になれば幸いである。
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