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アーカイブ サンデー毎日 倉重篤郎のニュース最前線 2025/03/23 倉重 篤郎
山本太郎が熱論 みんなが切り捨てられない社会をつくる
「積極財政」と「独立自尊」 石橋湛山はれいわ新選組が継承する!?
小沢一郎と自民保守政治家から学んだこと/鬼軍曹のシングルマザーに背中を押されてきた/原点は脱原発――「ザイム真理教」以上の高い壁/こんな映画を作りたい
山本太郎氏インタビュー第2弾は、石橋湛山(たんざん)から始める。
歴史家・保阪正康氏が『文藝春秋』4月号の連載「日本の地下水脈」第53回で展開した湛山論に感化されたものである。保阪氏は、トランプ・石破茂日米首脳会談を取り上げ、石破氏のトランプ氏への対処の仕方に、単なる阿(おもね)りとは違うプラグマティック(実用主義的)な洞察力が垣間見られたと評価、今後の日米関係を構想するには、生来のプラグマティストであり、独立自尊を志向した湛山の足跡に学ぶべきではないかとの考えを述べている。
そのうえで、保阪氏は、湛山が戦前、戦中に『東洋経済新報』で鍛え上げた経済理論を敗戦後の日本経済再生に活用した点を強調、「いま政治的に湛山を語る論者の中で、彼の経済政策が積極財政論を基調に据えていたことを現在の視点で論じる者がいるだろうか。経済危機にある今日のテーマとして、議論を喚起しておきたい」と語っている。
湛山と言えば、れいわ新選組政策委員の伊勢崎賢治氏が、前号の当欄で、湛山の「日中米ソ平和同盟」構想を下敷きに南北朝鮮まで入れた東アジアの新「平和同盟」構想をぶち上げた。伊勢崎氏はさらに、日米合同委員会に首相を出席させることによって、日米地位協定を世界標準のレシプロカル(互恵性=対等性)なものに改定、横田基地管制空域解消など、日米関係を対等なものに切り替えるアイデアも披露した。これもまた湛山の独立自尊の姿勢を引き継ぐものであろう。
では、湛山のもう一つの軸である積極財政論は誰がどう継ぐのか。保阪氏が指摘する「現在の視点で論じる者」はいるのか。もちろん、保阪氏の論考はれいわに向けられたものではない。だが、れいわもまた積極財政論の党である。消費税は廃止、生活給付金を兆円単位で出せと主張、財政均衡論には立たない。ここで一つの仮説が成立する。もし、れいわが湛山の積極財政論に深く学ぶことができれば、外交・安保、経済・財政という二つの基幹政策で、湛山後継を名乗ることができるのではないか。そんな問題意識はあるやなしや。太郎氏にぶつけた。
「湛山ってどんな人?と言われて簡単には答えられません。街頭演説で聞かれた時に一応示せるようなスライドは作ってあります(と湛山の事跡を簡単に紹介したスライドを表示)」
湛山は占領期に蔵相としてGHQと対峙、インフレで緊縮財政を求められたのに積極財政論を主張、占領軍の経費削減にも踏み込み、公職追放になった人だ。
「基本、私は動物なんですよ。本を読むより情勢に反応し、直感で勝負する」
湛山の積極財政論は戦中、戦後も一貫しているが、保阪氏の指摘通り、保守系もリベラル系もあまりクローズアップしていない。
「湛山が積極財政論でやりたかったことは、いま生活や経済を回すために必要なことはこれなんだと言うことに尽きると思う。僕もそうだ。ただ、そう言い続けていると財政ポピュリストと批判される。湛山はこのあたりをどう考えたのか。今話を聞いて、これは勉強しなければ駄目だと」
「あるんですか。肝腎な積極財政論が抜け落ちてますけどと言いに行くの、ありかもしれませんね」
あなたも政界入り13年。ここまでよくやってきたと自分を褒める気持ちは?
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