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    アーカイブ サンデー毎日 倉重篤郎のニュース最前線 2025/04/12 倉重 篤郎
    野田佳彦立憲代表の政権交代宣言 田原総一朗が迫る
    「石破内閣不信任案」やるなら「真剣」を抜く
     石破少数与党政権は、商品券問題、トランプ関税問題、支持率低下、参院選…と課題山積の状態だ。他方、大胆な改革と政権交代を主張する野党の存在が見えないことに業を煮やした田原総一朗が、野田佳彦立憲民主党代表を直撃した濃密80分。増ページでお届けする。
    トランプ関税 茂木敏充元経済再生相の交渉力を活用すべき
    インフレ下の生活苦対策は大規模給付金で財源は確保済みだ
     現下の日本政治のキーパーソンは以下3人である。
     筆頭は、石破茂首相である。政権維持の生命線だった予算の年度内成立は2度の修正を経て何とか実現できたが、なおトランプ関税、政治とカネ、支持率低下、参院選と試練が続く。石破氏が少数与党を率いてさらなる関門突破を頑張り抜けるか。原点に戻って本来のリベラルカラーをどこまで打ち出せるか。対中外交、戦後80年首相談話(見解)などがカギになるだろう。
     国民民主党の玉木雄一郎代表も重要だ。昨年10月衆院選で勢力を4倍増28議席に増やしてから、「103万円の壁」解消、SNSを駆使したパフォーマンスが?(か)み合い、支持率では立憲民主党の一歩上に飛び出した。参院選後に自公国連立の道を歩むのか否か。キープレーヤーとなるだろう。
     後半国会のカギを握るのは、野党第1党・野田佳彦立憲民主党代表である。この国会の出口がどうなるかを決める人物だ。要は、内閣不信任案をどのタイミング、名分のもとで出すのか、出さないのか。少数与党政権だけに野党がまとまれば不信任案は可決、憲法69条に基づき衆院解散総選挙(参院とのダブル選挙)か、内閣総辞職の二者択一という大政局になる。
     野田氏がこの政局転換ツールをどう使うのか。ポイントは、予算に賛成した維新と、連立入り志向の強い国民民主党を不信任同調戦線に取り込めるかどうかだ。政治とカネ問題がどう決着するか、選択的夫婦別姓法案の扱いがどう推移するか。野党共通の課題で共同戦線を組んだ延長上に不信任案を構える、との演出ができるかどうか。自民埋没のリスクもあり、野田氏には周到な戦略のみならず相当な覚悟も求められる。
    貿易協定を梃子にトランプと交渉せよ
     野田佳彦氏にもう一つ注目するのは、財政健全化の旗を堅持する唯一の野党党首であることだ。首相時代には「税と社会保障の一体改革」で、消費税を5%から10%まで2段階で上げるという大仕事を当時野党だった自民、公明を引き込んで成し遂げ、この国会で提出した予算修正案も、基金の縮減などによる3兆8000億円規模の財源の裏付けのあるものだった。財政ポピュリズムが吹き荒れる中、自らの立場をどう差別化、多数化していくのか。
     野田氏には他にも聞きたいことがある。トランプ米国をどう見るか。特に2日発表の相互関税問題にどう対処? あなたが首相ならどうする? ジャーナリストの田原総一朗氏が迫る。
    田原 まずはトランプ関税について聞きたい。
    野田 日米は大事な2国間関係だと思うが、今のトランプの関税路線は世界中迷惑だ。関税は万能ではないという国際包囲網で闘っていくしかないと思う。
    田原 徹底的自国第一だ。
    野田 それに対してものを言っていかなければいけない。それとは別にこれまで交渉を積み重ねて決まったことは毅然(きぜん)としてそれを前提に交渉していくべきだ。
    田原 何を前提に?
    野田 例えば自動車輸出については、2019年の第1次トランプ政権と安倍晋三政権の間で合意した日米貿易協定がある。自動車に高関税を課そうとしていたトランプ氏と交渉し、TPP(環太平洋パートナーシップ)加盟国については関税を低くすることになった。その分、米国産の牛肉や豚肉が日本に入るようになり、トランプ氏も満足していた。今回はそれを忘れたようにやってきた。
    田原 安倍氏も死去した。
    野田 協定自体は残っている。それを梃子(てこ)にして交渉すればいい。トランプの機嫌を損ねたらさらに報復されるのではないかと思っているのではないか。それでは腰が引け交渉にならない。
    田原 どうすればいい?
    野田 安倍・トランプ時代に米通商代表部(USTR)のライトハイザー代表との間で一番タフな交渉をしたのは茂木敏充経済財政・再生相(当時)だ。三顧の礼で茂木氏を使ったらどうですか。特命担当相でも特使でもいい。あの交渉を一番知っている。こういう約束をしたんだと言える。ここまで来たらあらゆる人を使いこなせる構えにしないと。一部の仲良しではもたない。
    田原 同盟関係はどう?
    野田 石破氏が訪米した際の2月7日の日米首脳共同声明には、台湾の平和と安定の重要性と、力による現状変更は駄目だときちんと書いてある。21年4月の菅義偉・バイデン共同声明と同じ文言だ。ならば、トランプ氏に対し引き続き東アジアの安全保障に責任を持てと言えるはずだ。この文書を盾に交渉すべきだ。
    田原 従米外交どう改善?
    野田 ジワジワと変えていかなければならない。日米同盟は大事にしていきたいと思うが、向こう側が同盟国も敵国も同じ扱いでやってくるのなら、こちらも毅然としてやっていかないと同盟の意味がない。
    石破首相からは気迫が見えてこない
    田原 なぜもの言えない?
    野田 安倍氏はトランプ氏と距離感を?(つか)むのがうまかった。石破氏はちょっと遠慮し過ぎだと思う。電話一本してないのではないか。
    田原 欧州もトランプに文句言えない。
    野田 ただ、カナダのカーニー首相と連携、じわじわ包囲網を狭め、トランプ氏を説得する姿が見える。
    田原 説得しきれるか?
    野田 トランプ氏がタリフ(関税)マンとしてやってくること自体は、そう簡単に変わらないだろう。だとすると、米国が保護主義に行ってしまう分、日本がTPPのリーダー国としてもっと加盟国を増やしたらどうか。英国も入ってきた。RCEP(東アジア地域包括的経済連携)というアジアに豪NZを加えた15カ国参加の自由貿易協定もある。TPPの事務局を日本におき、RCEPと融合させる。日・EU経済連携協定もある。要は、WTO(世界貿易機関)の機能不全を日本が埋め、米国にも復帰を求める構えで、この際自由貿易の旗を振るのはどうか。そういった役割を日本は期待されていると思う。
    田原 誰ならできる? 野田さんかな。
    野田 もし自分にやらせてもらえるならやりたい。
    田原 石破氏どう見える?
    野田 政権を取って半年たった。仲の良い政治家で、一定の尊敬の念も持っていた。やりたいことをいっぱい持っている方だとも思っていたが、…



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