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アーカイブ サンデー毎日 倉重篤郎のニュース最前線 2025/04/27 倉重 篤郎
トランプ関税ショック 憂国の政治家、古川禎久が緊急提言 「令和の与野党大合同」で国民生活を守れ
トランプ関税ショックは現代世界を右往左往させている。重大な転換点に立たされた日本を、「憂国の中道保守」古川禎久氏はどう考えているのか。「湛山議連」を主宰する一人であり、日本の自主独立、そして国民を守る政治を探ってきた古川氏が、混迷の時代に真っ直ぐ提言する。
いかに歴史に韻を踏ませないか 所得再分配で格差是正を
この時代の転換期に日本政治はどう向き合っていくのか。永田町に籍を置くあらゆる党派、勢力の選良たちは、今こそ脳髄を振り絞って考え抜く時であろう。
トランプ時代となって世界がどう変わったか。安全保障においては、米国はよそ様の面倒をみる意思も能力もなくなったごとく振る舞っている。ウクライナ戦争はNATOに任せ、ガザ戦争はイスラエルの行き過ぎた「自衛戦争」を放置、東アジアでは、同盟国に対する対中国抑止力供与もカネとディール次第、との姿勢に切り替わりつつある。通商・経済では、世界各国に対して一方的に関税の壁を築き上げ、戦後米国主導で作り上げてきた自由貿易、多国間主義をモットーとするGATT(関税及び貿易に関する一般協定)・WTO(世界貿易機関)体制を自ら壊しにかかっている。
国内では、移民の排斥やLGBTQら少数者の人権軽視に始まり、教育現場への介入や兵糧攻めなど、自由と法の支配、民主主義が最も進んだ国とは思えないことが相次いでいる。戦後米国の民主主義を最も勤勉な生徒として学び、規範として国づくりをしてきた日本としては、アイデンティティーにも関わる事態だ。特に日米安保体制におんぶに抱っこで戦後80年をやり過ごしてきた日本戦後政治には、その安寧の足を掬(すく)われる一大事である。大胆に見直し、新体制に向けた試行錯誤が求められている。
振り返れば、転換期ごとに日本政治は体制を切り替え、時の課題に応えてきた。米ソ冷戦時には、保守合同で自民党が誕生、社会党との間で55年体制を作り、反共・修正資本主義路線で経済大国を築き上げた。冷戦崩壊後の米国1強時代には、万年与党体制から連立政治に移行、同盟強化・自由主義経済路線で非戦、低成長を維持した。そして今、新たな転換期に政治がどう対応しようとしているのか。対応すべきなのか。
米国の衰亡と中国の台頭とトランプ時代の始まりが重なり、時代認識、対処法共に難しい時期である。それでも政治家しか、その責(せめ)を負う者はない。その一人であろうと狙いを定め、自民党の古川禎久衆院議員に聞く。古川氏は当欄2024年3月3日号にも登場いただいた。裏金問題発覚後いち早く派閥を離脱、対米自立の保守革命を訴えた人だ。超党派・石橋湛山議連幹事長として「湛山の自主自立精神は今も生きる。世界が流動化、米国発の価値観も縮んで行く中、自分の頭で考え、自分の足で立ち、重心を低く構える、そういう体制にシフトすることだ」と述べていた。
湛山議連以外でも、衆院選挙制度改革実現(共同代表)、医療・防災産業創生推進(事務局長)、カーボンニュートラル実現(幹事長)、独立財政推計機関(事務局長)、地熱発電普及推進(副幹事長)、国際人権問題(副会長)と、利権よりむしろ天下国家を論じる各種超党派議連に所属、与野党を超えた永田町の人脈に通じ、日本の今と対峙(たいじ)している。自民党財政改革本部副本部長として財政健全派のキーマンであり、石破茂首相には4度目の総裁選チャレンジまで派閥事務総長として仕えた。
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