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アーカイブ 特別参与・内海 善雄 LesEssais 2024/05/14
夜7時のNHKニュースは、公平、公正、不偏不党な番組として、日本の標準的なニュース番組と期待されている。諸外国からも、この番組が伝えるものが日本の姿として理解されていると思う。
しかし、その内容たるや、はなはだ遺憾なことが多い。これが日本人の姿であると、諸外国から見られると思うと、真に恥ずかしい。以下、思いつくままになんとか改善してほしい点を述べる。
男女のアナウンサーが同時に画面に登場し、原稿を交互に読み上げる姿は、まるで幼児の学芸会の風景である。世界中どこの放送局でも、このような幼稚なことはしてない。決められた原稿を適当に分割して読み上げるから、内容に自信があるようには見えず、視聴者には信頼感がまるで湧かない。しゃべってない方が、首を振って相槌を打つ姿はまことに見苦しい。
一方、世界の有名放送局のナレーションは、ベテランのキャスターが、ほぼ大写しになり、豊かな表情から言外のメッセージも伝わり、その伝達力には格段の違いがある。
日本の若い美女アナウンサーやイケメンは、一見見栄えが良いが、人生や社会に経験不足の者が、よく理解もしてない原稿を分担して読み上げ、とってつけたようなジョークを入れても視聴者には素直には入りにくい。むしろその幼稚性に、番組そのものにまで反発心が湧く。
能登半島の激震は重大事件であったが、毎日、トップニュースとして何か月も報道し続けるのはいかがなものか? ほとんど種切れで、まったく個人的なことまで、毎日、全国放送し続ける。この間、日本や世界では大きな事件や動きがあったが、まるでそちらは無関心であるかのように、能登半島の状況を、しかも、トップニュースとして報道し続ける理由がわからない。
さすがに最近はなくなったが、数か月間、どこで、何時から水の配給があると昼のニュース時に全国放送したが、どうして関係地区の放送に限らなかったのか?
最近では、那須町での殺人事件を、毎日新しい情報を小出しに出しながら、トップニュースとして報道し続けている。毎回、概要を繰り返すことになり、相当な時間を割いている。もう聞くのもうんざりの気分になる。
大谷選手が偉大で、皆、関心があることは分かるが、大谷一辺倒はいかがなものか? 大谷以外にも世界で活躍しているスポーツ選手は多数いる。スポーツ報道にも、公平、公正、不偏不党のルールは適用されるべきである。
天気予報は重要な情報ではあるが、夕方6時ごろから、何度も何度も天気予報が放送される。しかも一回の時間が長く、同じことを、手を変え品を変えて放送される。今は、ネットも発達しており、本当に天気予報を知りたい人はネットで調べることの方が多い。天気予報で時間をつぶすなら、もっと他の重要なことを報道してほしい。経済の状況、海外の状況、社会問題など、国民にもっと知らさなければならない情報はたくさんある。NHKの多くの人材と資源が天気予報のために死蔵されているのではないか。
学会などではあまり評価されてないがマスコミによく登場する学者など、いわゆる学識経験者のごく短いコメントがよく入る。それは、解説でもなければ、個人の異論でもなく、ほとんどナレーションの結論部分を、数秒で繰り返しているだけである。何か権威付けをしたいのだろうが、何の意味もない。学識経験者を登場させる場合は、むつかしい問題の解説や、政府の見解とは異なる意見など、真に参考になるコメントを入れてほしい。
話題になっている日本の喫緊の政治問題については、各党の意見を登場させて、公平、公正、不偏不党になるよう努力をしているが、政治問題として話題になってないことについては、まるでこの公平、公正、不偏不党のルールの適用がないように思っているかに見える。
枚挙にいとまがないが、わかりやすい例として、ウクライナやガザの報道は、きわめて一方的である。中東のアルジャジーラでさえ、イスラエル側の意見や動きも多く放送している。また、ロシアに加担する国も多数存在するがそちらの意見はまるでNHKからは聞こえてこない。
たとえ一般視聴者に人気がなく、関心も薄い事柄だとしても、様々な意見や状況を幅広く伝え、視野を広げさせるのがNHKの使命ではないか。
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