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アーカイブ 秋田朝日放送 コラム 2017/12/28 桜井 元
ツルッと滑って新年へ(秋田朝日放送ホームページコラム「戯れ言 たわ言 ひとり言」)
ちょっとくだけたドイツ語の表現で、「良いお年を」という意味だ。
Guten Rutsch ins neue Jahr! と言えば、年末の挨拶だとはっきりする。
Rutschは、「滑り落ちること」。ツルッと滑って新年へ、といったニュアンスだろうか。
国内の受験生にとっては、縁起でもない表現かも知れない。が、クリスマスまでは家の中にも本物のモミの木を飾り、家族や仲間と「クリスマス市」に出かけ、熱い赤ワインにシナモンなどを入れた「グリューワイン」で体を温めるドイツの人たちにとって、年末年始は日常生活に戻っていて、元日だけが祝日――といった具合なので、クリスマスツリーを短く切って束ね「燃えるゴミ」として出したあとは、滑り落ちるように新年に入るのかな、と思ってしまう。
日本ではやはり大晦日・元旦が「節目」となって、ツルッと滑り込めない引っ掛かりがありそうだ。
鹿児島で迎えた社会人1年生の元旦。小学生の寒中水泳を取材、原稿を出したあと、先輩の自宅に招かれた。テーブルの上に置かれていたのは「新政」の1升瓶。奥様の実家から正月用に送られてきたという。「焼酎王国」の駆け出し記者が、初めて口にした日本酒だった。
【追記】新政酒造は、秋田市の繁華街・川反(かわばた)に近い大町6丁目にある日本酒の蔵元。1852年(嘉永5年)創業。「新政」ブランドで長く親しまれたが、8代目の社長佐藤祐輔さんが、協会六号酵母と秋田県産酒米を使って高級志向へとかじを切り、デザイン性の高い4合瓶の「No.6」(ナンバー・シックス)シリーズなどが、県外でも人気となっている。
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