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アーカイブ 秋田朝日放送 コラム 2018/02/14 桜井 元
大綱を引いてきた(秋田朝日放送ホームページコラム「戯れ言 たわ言 ひとり言」)
国指定の重要無形民俗文化財「刈和野の大綱引き」が10日夜、大仙市刈和野で行われ、秋田ロータリークラブの皆さんと参加してきた。実は「見学」のつもりでいたが、先輩が長ぐつ、雨がっぱ、軍手を用意してくださったので、引くに引けない、いや引くしかなかったわけだ。雪ならともかく、雨降りで積雪の一部はテカテカに凍りつき、足場の悪いところもあった。
上町(二日町)から雄綱(長さは男性の厄年を表す42尋=約64㍍)が、下町(五日町)から雌綱(女性の厄年を表す33尋=約50㍍)が、それぞれ大町通りの中心に進み、「建元」(たてもと)と呼ばれる責任者(上町6人、下町7人)の指示で「綱合せ」が行われた。厳粛な空気の中、雌綱の輪になった「サバグチ」に雄綱の先端「ケン」が差し込まれ、ぐるりとねじり上げる「蛇口結び」で大綱が仕上がった。
予定の午後9時より少し早く綱引きが始まったので、あわてて上町の綱に飛びついた。近くに外国人のカップルの姿も見えた。「ジョヤサノー」という掛け声が響く中、約20分、50㍍ほど引いただろうか。上町の勝利が告げられると、法被姿の若者らは拳を突き上げた。
柳葉敏郎さんが下町に参加することも影響してか、このところ下町の3連覇だったそうだが、今年は上町が4年ぶりに勝った。ギバちゃんの姿は見えなかったが、悔しがっていたのかな。
室町時代から500年余り続く綱引きの起源は、「市場開設権」を争う神事とされるが、その後、上町が勝てば米価が上がり、下町が勝てば豊作になると伝えられてきた。
我々のような飛び入りも含めて参加者は約7200人。大綱の直径は約80㌢、重さ約20㌧。
「この綱はどこかの倉庫に保管するんですか」とたずねると「いやいや、神社に奉納して、毎年つくり直すのよ。町民総出で」――大綱引きにかける地元の皆さんの心意気を感じた。
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