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アーカイブ ロータリー秋田 第702号「ペンリレー」第1582走者 2018/01/01 桜井 元
秋田はBeautyに満ちている(2018年1月「ロータリー秋田」第702号「ペンリレー」第1582走者)
「世界はBeautyに満ちている」。ちょうど1年前になるが、2017年元旦の新聞各紙に、こんなコピーの踊る資生堂の全面広告が掲載された。
その3日後、年始の挨拶でこの広告を見せ、社員に呼びかけた。「この『世界』を『秋田』に読み替えようじゃないか」
2017年10月、秋田朝日放送(AAB)は開局25周年を迎えた。記念のテーマは“美~beauty”となり、みんな手分けしてイベントや番組を通じて、秋田の魅力を発信してきた。
たとえば「秋田の美」をテーマとするショートコンテンツ。「毛筆デザイナー・佐藤佳奈さん」(1月)「かまくら職人・北嶋勝雄さん」(2月)「本ワサビ農家・市川サツさん」(3月)「おしら様の枝垂れ桜」(4月)「鳥海山麓の春」(5月)「六郷湧水群」(6月)「提灯職人の思い・高橋晴男さん」(7月)「土崎神明社祭の曳山行事、角館祭りのやま行事、花輪祭の屋台行事」(8月)「白岩焼和兵衛窯・渡邊葵さん」(10月)「あきた舞妓」(11月)「大日堂舞楽」(12月)――と続いた。
長野県出身で「美しすぎる銅版画家」といわれた「小松美羽さんのライブペイント」は、番外編として9月に登場。小松さんは同月30日、秋田県立体育館の特設舞台で、「恩荷」(おんが)のなまはげ太鼓に触発され、2枚のカンバスに赤と青のナマハゲと狛犬風の秋田犬を描いた。
37の酒蔵で醸し出される「美酒」、きりたんぽ、稲庭うどんなどの「美食」、最強?!のブランド「秋田美人」、秋田蘭画、藤田嗣治の『秋田の行事』、秋田公立美大などの「美術」、秋田スギ、白神のブナといった「美林」……。確かに、秋田は「美」に満ちている。
秋田県内には、国指定の重要無形民俗文化財が17件あり、都道府県別では最多。2位の愛知県(12件)を大きく引き離している。「年に1本、特別番組をつくっても、17年かかるね」と総務省の元局長は笑顔だった。
地域に根差す放送局として、地域の魅力を広く発信することは、大切な使命だ。
ビッグデータの世界的権威、英オクスフォード大学のビクター・マイヤー・ショーンベルガー教授の講演を聴いたことがある。ビッグデータを活用するビジネスが成功するかどうかのカギを説明して、同教授は「責任と信頼が継続の本質だ」と語った。
「美に満ちた」秋田への責任、そして視聴者の信頼。これを胸に刻んで、小さな放送局ではあるが、さらに前進を続けたい。
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