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アーカイブ 東北再生経済研究所 再生 2021/04/01 桜井 元
アナウンサーが呼びかける家庭の防災(東北再生経済研究所「再生」に掲載)
10年前の震災当時、仙台のテレビ朝日系列局・東日本放送(KHB)で夕方のニュースを読んでいたアナウンサー奥村奈津美さんが、『子どもの命と未来を守る!――「防災」新常識』を出版した。表紙に「パパ、ママができる!水害・地震への備え」「妊娠・出産したら読む防災の本!」とうたわれているように、子どもたちの命を守るためにはどう行動すればよいか、避難中の母子の栄養状態にどう配慮すればよいか――など、専門家へのインタビューや分かりやすいイラストを通して、具体的に描かれている。
奥村さんは2011年3月11日午後2時46分、仙台市内のマンション7階の自宅で、ひとり台所に立っていた。午前中、沿岸部の畑で取材し、そこで収穫した野菜を自宅で調理してから、KHBのスタジオで撮影する予定だった。揺れ始めて火を止めた直後、大きな揺れとなって約30㌔のオーブンレンジが飛んだ。外へ逃げようとドアを開けたら、マンションから振り落とされそうに感じてドアノブを握りしめた。「人生で初めて死の恐怖を感じました」と振り返っている。
KHBに着いた奥村さんは、72時間連続の緊急放送に携わった。この経験が「原点」となり、ほどなくNHK広島放送局へ移ったあとも、視聴者に呼びかけてラジオを集め、被災地へ届けるなど、支援活動を続けた。東京へ戻ってフリーとなってからも、TBSの「はなまるリポーター」やNHKラジオのアナウンサーを続けながら、被災地の人たちの思いを大切にしてきた。防災士、福祉防災認定コーチの資格をとり、熊本地震直後の現場も訪ねた。
子どもを寝かしつけてから、原稿を書き続けた『「防災」新常識』には、妊娠中の避難のため備えておくべき品物や、赤ちゃんを連れた避難では「ストレスで母乳が出なくなる、は誤解」「非常持ち出し袋には紙コップ、割りばし、粉ミルクを3日分入れておこう」、子どもが歩けるようになったら「子どもと防災散歩しよう」などと、母親の視点から具体的な呼びかけが目立つ。
コロナ禍で、ソーシャルディスタンスを取らなくてはならず、分散避難が呼びかけられている現状では、避難先は自治体指定の避難所に限らず「自宅、親戚・友人宅、ホテルなども含まれる。何より子どもにとって安全な場所に避難することが大事」と指摘している。
『子どもの命と未来を守る!――「防災」新常識』は、辰巳出版・刊、1,430円
☆2023年8月下旬、奥村奈津美さんから、次のようなメールが届きました。
このたび、YouTubeチャンネルを開設しました(正しくはリスタートですが)
地震対策徹底攻略版をシリーズでお届けしております。
日本全国いつどこで大地震が発生してもおかしくない状況…
この機会に、一緒に備えを見直して頂けたら幸いです。
国内最大規模の防災イベント「ぼうさいこくたい」は横浜国立大学です!
関東大震災以降、日本の住宅がどう進化してきたのか?
防災界のレジェンド、室﨑先生にも基調講演頂きます。
参加費無料(会場参加は50人限定。オンライン視聴も可能)
認定コーチを担当している福祉防災コミュニティ協会も
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