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    アーカイブ 国際観光施設協会 コラム 2012/01/01 佐野 桃子
    佐野桃子の観光インタビュー 駐日カナダ大使 ジョナサン・T・フリード
    Jonathan T.Fried ジョナサン T.フリード様 経歴
     1977年 トロント大学文学士号修得後、法学士号も修得
     1977年~78年 アルバータ州弁護士会会員
     1979年 アメリカコロンビア大学法学修士号修得
     1980年 国連第六委員会(法学)
     1981年 外務・国際貿易省入省
     2000年 財務省上級次官補兼G7次官級
     2003年~06年 枢密院カナダ首相上級顧問兼米加関係事務局局長
     2006年~08年 国際 貨基金 カナダアイルランド
     カリブ地域担当理事
     2008年より駐日カナダ大使
     言語:英語・フランス語・ポルトガル語、
    Q今日はお忙しいところお時間をとっていただき、ありがとうございました。きれいなオフィスですね。この前、カナダ大使館の庭園をデザインした庭園デザイナーの枡野氏の講演を聴きました。
    フリード大使:
    私も2度ほどお目にかかりました。この大使館庁舎は日系カナダ人の設計で、日本とカナダの友好関係が表れていると思います。たとえば近隣の赤坂御用地や高橋是清公園を見下ろさないように、ガラス壁 は斜めにしています。プライバシーや日照への配慮ですね。四季を感じて変化していく景観をこのオフィスから楽しんでいます。
    Qメールで想定している質問をお送りしましたが、いかがでしたか?どれも簡単な質問だと思いますが。
    フリード大使:
    なかなか難しい質問でしたよ。
    Qエー???ドギマギ!!!「1番気に入った日本のリゾートはどこですか」は簡単ですよね?
    フリード大使:
    いいえ、駐日大使は二国間関係全 に係る立場ですから。これまで47都道府県のうち 32を訪れることができました。どの地方も独特の美しさがありましたね。軽井沢では桃子さんも一緒にアレキサンダー・クロフト・ショーの家に行きましたが、カナダ人宣教師ショーが明治半ばに発見した美しい高原リゾートです。雄大な大自然の北海道では、多くのカナダ宣教師が開拓と宣教に従事しました。バンクーバーと姉妹都市の横浜も、バンクーバーと同様すばらしい観光都市です。京都は歴史と伝統の大変豊かな古都ですが、奈良には奈良の個性があり、福岡も独特の魅力を持っています。どの土地も異なった魅力があり、私はその一つ一つに魅了されてきました。
    Qンー!!!確かに、大使のおっしゃることは正しいでしょうね。(でも困ったな??)それでは、少し視点を変えて、質問させていただきますが、「日本の観光資源」はどのようなものだとご覧になっていますか?
    フリード大使:
    日本語があまりできないので、地元の方とスムーズな意思疎 をはかるのはなかなか大変です。ですが、皆さん大変忍耐強く私たちが理解するのを待ってくださり、その優しさや温かさにいつも感銘を受けています。日本人のこの寛容なおもてなしの心が日本の観光産業を支えていると思います。
    Qンー!(すばらしい回答!!)
    では、カナダのリゾートについても同様でしょうか?どこも魅力的? カナダは世界で2番目に国土が広い国ですよね?(ちなみに1番広いのはロシア、3番がアメリカ、4番が中国、5番がブラジル、6 番がオーストラリアで 7番がインド)
    フリード大使:
    その りです。カナダは広大な国土に恵まれ、東は大西洋、西は太平洋、北は北極海に しています。地域によって気候も自然も景観も全く異なりますし、都市の雰囲気も違います。東部はヨーロッパの影響を色濃く受けていて、トロントはニューヨークとロンドンを合わせたような魅力を持っています。西のバンクーバーはアジア系人口が 40 パーセント以上に達し、バンクーバーのチャイナタウンはカナダ一の規模です。石油と天然ガスが産出される中部にはテキサスのカウボーイ文化に良く似た文化があり、北部に住むイヌイットは極北固有の先住民族文化を維持し続けています。
    アメリカもカナダも移民国家ですが、アメリカはメルティングポットと言われるように、アメリカという大きな文化の中に融合することを理想としているようです。一方カナダはモザイクのように多様な文化をそのまま維持しながらの共存を大切にしています。多文化国家であり、地域文化の多様性を尊重して誇りを持って維持していくことを奨励しているのです。
    地域ごとに様々な個性があり、その土地ならではの文化や方言や料理があるのは素晴らしいことです。桃子さんもそう思いませんか?地域の多様性はこれからの大切な観光資源だと思います。
    カナダでは英語とフランス語が公用語で、人口の約 75%が英語を、25%がフランス語を第一言語として生活しています。また、トロント市では100種類以上の言語や方言が話されています。
    Q観光を考えるときに、多言語に対応しようとすることはコストがかかりで負担だと考えるのが普 だと思いますが?
    フリード大使:
    コストでなく、アドバンテージ(強み)だと思います。多言語が必要とされているのは喜ばしいことではないでしょうか?
    Q確かにそうかもしれませんね。日本にも強烈なカナダファンがたくさんいます。
    フリード大使:
    バンクーバーは人気の観光地で世界各地から人々が訪れますが、日本の の方は、バンクーバーに滞在した後、オーロラを見にイエローナイフ市内のオーロラビレッジまで足を延ばすようですね。ここには幾つかのテントがあって、宿泊はできませんが97パーセントの確率でオーロラを見ることができます。インターネットで見てみませんか? http://www.auroravillage.com/index_jp.html(このページは、2024年11月時点では存在しない)
    Northwest Territories Tourism
    Qすごいですね。ティーピーというテントに泊まるのですね?神秘的。絶対行きたいと思いました。すごーい!!
    フリード大使:
    きれいでしょう? もう一つ日本の皆さんに人気なのは北極熊を見るツアーです。カナダ北部のハドソン湾に したチャーチルという町に行きますと、季節を選べば何頭もの北極熊を見ることができます。
    Q天皇・皇后両陛下が2009年にカナダをご旅行なさいましたが、その時ずっとご一緒だったとお聞きしていますが。
    フリード大使:
    天皇陛下は皇太子時代、1953年のエリザベス女王戴冠式に昭和天皇のご名代としてご出席なさったのですが、その際にカナダ経由でロンドンへいらっしゃいました。バンクーバー近くのビクトリアという港町まで船で、バンクーバーからは鉄道でカナダを横断なさいました。それからナイアガラの滝をご覧になり、トロントからロンドンへ向かわれたと聞いています。今回両陛下はその思い出を辿って11日間カナダで過ごされました。11日間は海外ご訪問としては最長と聞いています。
    ビクトリアでは英国王室の在BC州代表府であるカナダの副総督邸に、オタワではハリントンレークでハーパー首相のコテージにもお泊りになりました。外務省と宮内庁の万全な準備に加えて、カナダ儀典局も心をつくしてお迎えしましたので、私は随行するだけでしたが、両陛下はカナダご訪問を楽しまれたと思っています。
    Q最後に、お忙しい毎日の生活の中で、なにが一番気分転換やストレス解消になりますか?
    フリード大使:
    仕事は大好きでストレスとは無縁ですが、東京ではいろいろなことを自由にできるのが一番の魅力ですね。連日様々なコンサートがありますし、美術館や博物館を訪れるのもいいし、屋外に出て公園に行くのも好きです。公園の散歩からタキシード着用の夜会まで幅広い楽しみ方ができます。それにレストランもB級グルメから高級料亭までありますね。そこが東京という町の多様性の魅力だと思います。
    佐野:
    確かにそうですね。本日は本当にありがとうございました。
    インタビュー後記
     ありふれた質問でなごやかなインタビュー導入を予定していたのですが、上手にかわされて、最後には全く大使のペースで、彼の分析と哲学にすっかり洗脳されました。
     多言語で対応するのは強味で喜び!! 各地方のさまざまな個性が共存する国の観光は楽しいと私も同感します。オーロラは一度は本物を見たいな!!



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