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アーカイブ 国際観光施設協会 コラム 2024/10/10 佐野 桃子
佐野桃子の観光インタビュー メディア激動研究所フェロー 早田 秀人 氏
早田 秀人 氏 略歴 1943年 生まれ。東京都出身。早稲田大学文学部露文科卒。 1968年 日本経済新聞社に入社。編集局、工業部、流通経済部などで、流通業界などを担当 1993年 テレビ愛知出向 営業本部長、東京支社代表、事業本部長を歴任 2005年 テレビ愛知系列番組制作会社 アイプロ社長「ロボカップ」「世界コスプレ大会」等のイベントを主催 2019年 「プラウダ」(メディアコンサルティング)設立し社長就任 今日に至る。 2024年4月 メディア激動研究所フェロー 今日に至る
佐野: 本日はお忙しいところ、お時間をとっていただき、ありがとうございました。早田さんが大成功への道をつけた、「世界コスプレ大会」が来年の大阪・関西万博のイベントの一つになると決まったと伺ったものですから、そのお話しを是非お聞きしたいと思ってご無理を申し上げました。
早田氏: おかげ様で万博の石毛事務総長にもお会いできて、大体の方向性が見えてきました。まだ詳細を発表する時期にはきていませんが、世界コスプレサミットというイベント名になるのではないかと思います。
佐野: すごいですね、コスプレというのは。日本の若いアニメファンだけの特殊な文化だと思い込んでいたのですが。
早田氏: 今や3日間で22万7,000人の動員数があり、世界40か国からの参加がある大きなイベントとなっているようです。テレビ愛知の事業局に在籍していたとき、一緒に働いていた二人の社員が「日本の若者たちの間でコスプレ人気が高まっている。この流れを捉えて、なんとかテレビ愛知の主要イベントにしたい」と相談をもちかけてきました。一方、ブラザー工業はミシンを主要商品のひとつとしており、高級ミシンをコスプレに使ってもらって、ミシン市場をよりしっかりしたものにしたいという希望を持っていました。また、フランクフルトの総領事の方から、フランスのパリでフランス、ドイツ、イタリア、スペインなど複数の国々が集まって、コスプレ大会を行っており、ブラザー工業が高級ミシンを賞品として授与し、大変喜ばれているということを教えてもらうことができました。この3つの話が、良い方向に動き、テレビ愛知が本気になって、「それではもっとアジアの国々にもコスプレをアピールしよう」ということになりました。それが 2003年、2004年のことで、2005年には「愛・地球博」で、世界コスプレチャンピオンシップを開催することできました。
佐野: すごい速さでそのイベントを立ち上げたのですね。
早田氏: テレビ局の本社がある名古屋市大須で、初めてコスプレーヤーが大須商店街をパレードしたのですが、その立ち上げ当時は、買い物客が物珍し気に遠くから見守るといった程度で、とても寂しいイベントでした。
佐野: それが今や押すに押されぬ人気イベントになったということですね。コスプレは「マンガ」だけでなく「アニメ」「ゲーム」を含む世界のキャラクターに、手作りの衣装を着てなりきる。加えて、舞台でパフォーマンスをするのですね。
早田氏: たった2分30秒の枠の中でのステージパフォーマンスと、手作り衣装でどうキャラクターになりきっているか、という2点で審査されます。二人一組で、審査対象になります。今年はなんと日本が12年ぶりの優勝を果たし、皆さん、感激の涙涙だったと聞いています。
WCS2024 End Credits | 世界コスプレサミット2024エンドロール
早田氏: 是非、2024年コスプレのエンドロールというYouTube があるので、ご覧になってください。
佐野: はい。そうします。ロボカップのイベントも早田さんが立ち上げたとお聞きしていますが。
早田氏: ただ、お手伝いしただけです。ロボカップは1992年に「2050年までに、サッカー世界チャンピオンに勝てるヒューマノイドロボットチームを造り上げよう!」と言う目標を持って、発足し、5年後の1997年に第一回世界大会が名古屋市で開催されたと聞いています。私がこのプロジェクトを知ったのは、ソニーの担当者で 1998年に世界大会がパリで開かれ、ソニーから参加していた帰国したばかりの技術者に取材した時でした。私はロボット技術について全くの素人でしたが、二足歩行を可能にする激しい体重移動と柔軟性、衣装というかわかりませんがクッション性のある外側のしつらえ、それに人間同様の面相と表情、この3つを創作する必要性について質問したのを覚えています。第一回のロボカップが行われた名古屋市なら、小中学生をも対象にする国内大会も継続できると信じて、ショットピーニングなどの優れた技術を持つ器械メーカーさんなどに後援をお願いし、2005年の「愛・地球博」に合わせて大会を名古屋市内で行うことができました。その後、私もイベントビジネスの現役を終えたので、「老兵は死なず、ただ消え去るのみ」をモットーに、一切口出しをしないことにしています。
佐野: それはまた素晴らしいことですね。早田さんが築いた土台の上に、ロボットサッカー選手たちも頑張っていると思います。貴重な体験談をありがとうございました。ちょっと違う質問になるのですが、早田さんのお気に入りのリゾートってどこですか。日本各地、いろいろなところに取材旅行などでいらっしゃっていると思いますが。
2024年 世界コスプレサミットに優勝した日本チーム
早田氏: 今一番気に入っている温泉は草津温泉です。60度の源泉に入ることができます。といっても、私には熱すぎて、実際は40度くらいに薄めた温泉を楽しんでいますが、地元の方は平
佐野: エー! 60度だとやけどしそうですね。今度専門家に聞いてみますね。たぶんの国際観光施設協会の温泉に詳しい方なら、答えを出してくださると思います。
早田氏: 是非答えを聞かせてください。他には奈良県の野迫川村の桜雲海はとても気に入っています。桜の季節だけですが。野迫川村というのは離島を除いて日本で最も人口が少ない自治体です。
早田氏: 1,100mから 1,300mの山に囲まれていて、夏は冷涼で避暑には良いのですが、冬は降雪や積雪も多い場所で何しろ不便な場所です。ところが湿気が山にぶつかって雲海が起こりやすく、それが素晴らしい景色を創りだします。キリンビールが日本で一番美しい景色に選んでくれたところです。
佐野: どうやってたどり着いていらっしゃるのですか?
早田氏: 宿泊施設は古い旅館のようなものがたった一軒しかなくて、設備もかなり古くて、要改修だと思いました。こんなこと言っていいのかな。実は息子が、その近くの洞川の森林管理組合で働いています。測量 士の資格や熊退治の資格など取って頑張っているのですが、山を降りたらそんな資格も役に立ちそうもないし、どうするのだろうね。
佐野: 素晴らしい息子さんじゃないですか。その桜雲海については、エッセーに書いていらっしゃいますか。
早田氏: はい。メディア激動研究所のサイトに投稿しています。何日かな、7 月上旬にアップしたと思います。
佐野: 楽しみに拝見いたしますね。ところで、最後の質問です。ストレス解消はどうなさっていますか。
早田氏: 散歩はよくしますが、ストレスはあまり感じないかな。ここへ来るちょっと前にエレベーターの中で、ある大手グローバルゼネコンの方と知り合いになりました。エレベーターの設計をしているというので、その設計図を見せてくださり、 30 分もおしゃべりして、連絡先を交換してきました。( 交換したメモとその方がくださったエレベーターの設計図のコピーを見せてくださり、)ほらね。人間付き合いの中で情報交換しているのが一番楽しいストレス解消かな。
佐野: 素晴らしいことですね。早田さんのご友人の輪がどんどん広がりますよう。お元気でますます活躍してください。
早田氏: ありがとうございます。また、お会いしておしゃべりしましょう。
インタビュー後記 早田さんと初めてお会いしてから、もう45年にもなるでしょうか。日経新聞の意欲的な工業部記者でいらっしゃいました。今も好奇心を持って執筆活動をなさっているのは素晴らしいことです。息子さんの住んでいらっしゃる洞川温泉近くは漢方薬の製造が盛んなところで、有名な漢方薬メーカーが作っているクラフトビールも日本一美味しいそうです。余談ですが。 YouTube の2024年世界コスプレサミットのエンドロールを拝見しました。若い方だけでなく、高齢の方もコスプレを楽しんでいる様子が映っていて、私も参加したいと思わず思ってしまいました。 最後のほうになると、私も感激して涙。素敵なビデオでした。早田さん、いろいろ教えてくださり、ありがとうございました。 佐野桃子
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