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アーカイブ やぶ睨み「ネット社会」論Ⅱ 2021/08/16 内海 善雄
アフガニスタン政府か崩壊し、タリバンが権力を確立した。これから世界情勢がどう変化するのか予断を許さないが、国際テロ組織アルカイーダが息を吹き返すことは確かだろう。米国の発言力は急速に衰え、中国の発言力が飛躍的に増加することも明らかだ。これらのことが日本に及ぼす影響も大きいに違いない。
2006年ごろ、アフガン政府の大臣と数日間、一緒に イランを旅行したことがある。通信担当だったが、人民が所有する武器を回収する担当大臣でもあった。すなわち、タリバン対策の一翼を担っている人だった。ペルシャ語を話し、 イランで土方の仕事をして働いていたという。イランとアフガニスタンでは言語や民族が同じ者が多数いるらしい。
今、外務省のアラブ専門家であった元東北大学教授若林啓史氏の大作「中東近現代史」を読んでいる最中である。まだ、第一次大戦の頃までしか読めてないが、この地域(中近東)は英仏露米などの列強が自国の利益を追求して、人為的に国境線を引いて国を作った経緯が延々と述べられている。日本人は、今回のアフガニスタンの出来事を、アフガニスタンという国の地域限定的な問題としてしか認識してないと思うが、それはとんでもない間違いであることが分かる。
激しい民族・地域間の攻防と列強との闘いを繰り拡げてきたこの地域の歴史を知ると、コロナにさえも体系的な戦略が立てられず、無策で感染者を放置する日本政府が、アフガニスタンの政変による国際情勢の変化にうまく立ち回り、日本を有利に導くことなど、とても無理だろう。列強の餌食となってしまったこの地域の数ある無能な政権と重なって見えてしまう。
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