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客員研究員・山川 鉄郎 アーカイブ フジサンケイ広報フォーラム エッセイ 2024/08/10
プラハからの情報によれば、チェコ共和国ドゥコバニー原子力発電所増設計画の業者選定入札で、KHNP(韓国水力原子力発電)が選定された。チェコの原子力発電所建設をめぐっては、東芝/ウェスティングハウスも参加していたが、最終入札は韓国とフランスとの争いとなり、日本の原子力産業にとっては極めて厳しい結果となった。
ところでチェコは今後10年間で現在3分の1程度の原子力発電への依存度を2分の1まで高めていく計画だ。何せチェコは主要電源である天然ガスの100%、原油の50%をロシアに依存している。現在の国際情勢を見ればほかの選択肢はない。
隣国ドイツは脱原発で、2035年までにほぼすべてのエネルギーを再生可能エネルギーとする目標に取り組んでいる。しかし主力の風力発電も太陽光発電も安定性に問題がある。天気が良くないと、チェコは電力をドイツに輸出し、天気がいいとドイツから電力を輸入する。輸出入はほぼ均衡しているが、気象条件に期待できないチェコでは主電源を原子力とせざるを得ない。
同様にドイツはフランスからも原子力発電の電気を輸入している。電気を柔軟にやり取りできるのは、いうまでもなく欧州の送電網が縦横無尽につながっているからだ。現状ではドイツの再生可能エネルギー政策は欧州の送電網を前提として成り立っている。日本でドイツと同じ取り組みができるかというと難しい。条件が異なる隣国と送電網を接続することも考えられるが、EUのような枠組みがないにもかかわらず安直に外国に電力を依存することには安全保障上のリスクがあることはいうまでもない。内閣府の再生可能エネルギー等に関する規制等の総点検タスクフォース会議に提出されたアジア国際送電網の構築に関する資料に中国企業のロゴが表示されていた問題では、タスクフォース自体が廃止されてしまった。島国日本のエネルギー政策は簡単ではない。
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